自動運転車はどのように社会を変えるのか

By Sam Bocetta

本ブログ記事は、2019年10月15日に米国で公開された抄訳版です。原文はこちらからご覧頂けます。

将来、すべての車が自動運転車になると、社会は大きな影響を受けることになります。ある意味で、これは当然のことです。自動車それ自体の出現により、都市の設計方法、人々の働き方、さらには(残念なことに)自然環境も大きな変化を遂げてきたからです。

この未来は、さまざまな課題をもたらします。特に、AIが及ぼす倫理的影響について理解することが重要です。世界経済は大規模にAIを導入する準備をまだ整えていない、という強い懸念も払拭されていません。こうしたテクノロジーは他の仕事を生み出すにせよ、多くの仕事を奪う可能性が高いからです。

その一方で、自動運転車が主役となる未来は、よりクリーンで環境に優しく、便利な社会であるように思われます。さらに、安全性も大きく向上します。

真の自動運転へ向けて

自動運転車の未来がもたらす影響について詳しく検討する前に、この未来は遠くにあり、簡単には到達できないということを知っておく必要があります。自動運転車を本格的に展開するには、克服すべき大きな課題が残されています。

いくつかの課題は技術面で発生します。2014年、米国の自動車技術者協会(SAE) は完全な人間制御から完全な自動運転へと至る、自動運転の6つのレベルを定義しました。この両極の間には、自動運転のさまざまなレベルが存在します。現在、市場に登場している最新式の自動運転車は、特定の状況下で運転者の操作を必要とする、レベル4「事前定義された自動運転」に達しています。

このレベルを越えて進むには大きな困難を伴いますが、不可能ではありません。技術面で注目に値するのは、完全な自動運転を実現するハードウェアはすでに利用可能である点です。問題は、あらゆる状況下で自動運転車の安全な運転を可能にするソフトウェアを開発することです。とはいえ、機械学習とAIのソリューションを提供するSoftware as a Service(SaaS)の企業が大量に生まれている ことを考えると、このようなソフトウェア開発が実現するのも時間の問題と思われます。

自動運転車の展開における、見落とされがちなもう1つの課題は、自動運転車の使用を規定する法的枠組みです。現在のところ、自動運転技術の使用を規制する厳格なシステムや、事故が発生したときに責任の所在を明らかにする厳格なシステム(これはさらに重要と思われます)を整備している政府はありません。

自動運転のメリット

とはいえ、人間が運転する車に自動運転車が取って代わると、社会に大きなメリットがもたらされると思われます。

  • 第一に挙げられるのが安全性の問題です。毎年130万人が自動車事故で死亡しており、その大多数(90%)は人為ミスによるものです。こうした状況において、自動運転車は毎年100万人以上の命を救うことができる可能性があると推定されています。この点について考えてみると、少し奇妙なことに思い至ります。つまり、自動運転車は、その祖先であるテクノロジー、すなわち自動車自体がほぼ全面的に引き起こしている問題の解決策であるのです!

  • 第二の主なメリットは、自動運転車がもたらす利便性です。当然、運転に費やす時間は減り、さらにそれ以上のメリットがあります。自動運転車はすべてリアルタイム交通システムとつながることになるため、交通渋滞も大幅に減る見込みです。

  • おそらく、自動運転車によって飛び抜けて大きな影響を被るのは、都市です。現在、自動車を所有するというスタイルは、驚くほど効率の悪いものになっています。平均的な車のなんと97%の時間は、路上やガレージへの駐車といった、使われていない状態で占められています。自動運転車とライドシェアネットワークのテクノロジーを使用すれば、使用する自動車の数を大幅に削減できるでしょう。これは、現在は駐車スペースに充てられている都市の広大な領域を解放することにつながります。

  • その結果、経済に大きな影響が及ぶことになります。データ解析会社の ReThinkXによると、完全な自動運転車へ移行すると、新車の需要は80%減少すると見込まれています。自動運転車では、個人ではなく自動車会社が車の主な所有者となると思われます。

  • 最後に、環境面でのメリットが挙げられます。道路を走る車が減れば、当然ながら汚染も減ります。しかし、自動運転車が環境により優しい未来に役立つ理由はもう1つあります。それは、自動運転車はすべて電気で走るという点です。

自動運転のリスク

自動運転車のメリットについて概説しましたが、そのリスクについても知っておく必要があります。リスクといっても1つだけです。それは、自動運転車はハッキングされるおそれがあることです。

一部の業界団体や議員は、自動運転車を広く採用することに反対しています。自動運転車はセキュリティリスクを招くというのがその主な理由です。たとえば、IoTのスパイウェアは数年前から大きな懸念事項の1つとなっており、自動運転車はその影響を被りやすいのです。

このセキュリティの問題は簡単には対処できませんが、進むべき方向は見えています。BlackBerryは自動運転車向けのソフトウェアソリューションを開発している主要企業であり、同社が開発した高度な脅威インテリジェンスシステム は、自動運転車の保護にも役立ちます。自動運転車を操作するのと同種のAIを使用してセキュリティを向上させることも可能です。AIは、自動運転車の制御システムをハッキングする試みを阻止できる、消費者向けのVPNサービスを向上させる目的でもすでに使用されています。

まとめ

おそらく来世紀中に、人間が運転する車は自動運転車に完全に取って代わられることでしょう。この転換の実現に向けて技術的な課題がいくつか残されていますが、転換への抵抗勢力となるのは主として、政治関係者であると思われます。

自動運転車のテクノロジーが発展を遂げているのは心強いことですが、なすべき最も重要な仕事は社会と政治の領域にあります。政策立案者は、この新しいテクノロジーと連携するために法的枠組みを速やかに構築する必要があります。政府は、リスクを軽減するために介入することが求められています。こうした状況を踏まえて、米国サイバーセキュリティ省を創設し、自動運転車などの新たなテクノロジーと既存の標的の両方に対して、サイバー攻撃を減らす中央機関としての役割を果たさせることが提唱されています。





 

著者について


Tags: